第2部 求められる7つのスキル
Manager 7 Skills
店長としての任務を全うするためには、責任と仕事の内容を理解した上で、その職務を全うするためのスキル（職能）が必要です。
このスキル（職能）を理解し、そして、確実に身につけることが、店長としての任務を全うすることになります。
職務と職能
職務とは、仕事の責任と具体的な仕事の内容のことで、職能とは、その職務を遂行するために必要な能力のことを言います。
だから職務を理解しただけでは、その職務を遂行することも、責任を全うすることもできないのです。
言い換えるならば、職務を遂行するためには、職能を高めるしかないということです。
これは、一般的に言われるところのスキルアップのことです。
これはどんな職業にも言えることですが、良い仕事をしたいと思うのであれば、日々何らかのスキルアップが必要です。
一番分かりやすい例では、プロ野球やプロゴルファーの選手が良い成績を残すために、日々体力強化やスイングの研究を欠かさないのもその一つです。
だから良いプレーヤーは成績が悪いからとベンチやロッカールームで愚痴を言っていたり、成績が悪い理由を探すようなことはせず、つねに次の戦いに向けて練習と研究を欠かさないのです。
これは、茶道や芸道も同じで、その道を極めるためには、日々何らかの絶え間ない努力が必要だと言うことです。
店長の仕事もこれらと同じです。
単に店長としての経験年数を重ねるだけで、店長としての道を極めることなど出来ません。
店長としてもっと良い仕事をしたいと思うのであれば、日々の努力が何より大切で、その道を極めることとは、自分自身のスキルを高め、そして、その身につけたスキルを実践できるようになることです。
オペレーションスキル Operation Skill
オペレーションの目的は、ご来店いただいたすべてのお客様の満足と感動を得ることです。
そのためお店では、それぞれの仕事を一人ひとりに分担しながら、チームワークをとってゆきます。
この仕事の分担とチームワークを指揮するのが店長の仕事になります。
つまりオーケストラの指揮者と同じことです。
お店の人達の力を最大限に活かし、お客様に喜んでいただいてこそ店長としての評価が高くなります。
そのために必要なスキルが、オペレーションスキルです。
コストコントロールスキル Cost Control Skill
コストコントロールとは、単なる経費削減のことではありません。
大切なことは、適正にコストをコントロールすることで、目標となる経営数値を達成してゆくことです。
店長は常にお客様の満足の追求と同時に、結果としての売上高と利益を追求していきます。
まさしく経営者としての仕事になってきます。
そのために必要なスキルが、コストコントロールスキルです。
マーケティングスキル Marketing Skill
お店は店長一人では出来ませんが、店長一人の力でそのお店が繁盛もし、逆に営業不振になることもあります。
できれば任されたお店を自らの力で繁盛店、そして大繁盛店へと導きたいものです。
マーケティングスキルとは、そんな自らの力でお客様を増やすことの出来るスキルのことです。
オーガニゼーションスキル Organization Skill
年間を通して安定した店舗運営を行なってゆくことが、店長にとっては何よりも大切な任務になってきます。
それは、人の採用・人の教育・人の定着・人の戦力という最も重要な機能になる店舗組織づくりです。
オーガニゼーションスキルとは、そんな安定した運営を行なってゆくためのスキルのことです。
コミュニケーションスキル Communication Skill
コミュニケーションを取らない限り、お店が良くなることはありません。
それはお店の力とは、そこで働く一人ひとりの仕事に対する姿勢や仕事振りの結果で決まるからです。
そのために必要になってくるのがコミュニケーションスキルです。
これによって、働くみんなの力を最大限に引き出し、そして働くベクトルを同じにし、全員参加、全員一丸の運営が出来るようになってきます。
お客様も人 そして 従業員も人
フードビジネス ＝ ピープルビジネス
プレゼンテーションスキル Presentation Skill
店長は、つねに現場で働いているわけですから、会社や組織の中では誰よりもお客様や働く従業員のことを知っているはずです。
だから、お客様や従業員が何を望み、お客様や従業員が何に対して不満を持っているのかを、いろいろと見て聞いているはずです。
この、お客様や従業員の望みや不満を的確に判断し、そして、それらの問題を解消することに全力を尽くさなくてはなりません。
これがプレゼンテーションスキルです。
つねに「かご一杯」の提案があるのが普通な状態です。
リーダースキル Leader Skill
リーダーとして成功者になれる人には共通した能力があります。それは当たり前のことですが「成果を挙げる」という能力です。
これが最後7つ目のリーダースキルです。
そのためには、つねに高い目標を設定し、働くみんなを駆り立て、そして、全員一丸で問題に取り組むことです。
以上が、店長の人たちが職務を遂行する上で必要な7つのスキル（職能）になってきます。
目標を示し、夢と情熱でみんなを駆り立てる。
それがリーダーだ！
謝辞
故五十嵐茂樹氏の生前のご厚意に深く感謝いたします。
また五十嵐由美子様におかれましてはテキストの提供ならびに掲載の許可をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。