お役立ちコラム

お役立ちコラム

五十嵐茂樹の情熱塾〜プロ店長養成講座【第4部】

第4部 損益計算書
Profit and Loss Statement

1ヶ月の経営活動が結果としてどういう成績だったのかを正しく把握するためには、損益計算書を確実に理解できるようにならなくてはなりません。
これは、損益計算書が我々の成績表だからです。一言で損益計算書を言うならば、売上高から経費を引いて、最終の利益を明確にしたものです。

本テキストは株式会社五十嵐マネジメント・サポートよりご提供をいただき、同社の許諾のもと当サイトに掲載をさせていただくものです。よって本テキストの著作権は同社に帰属するものです。またページ上の誤字脱字等のミスは原則として当社の責に負うものです。

経営の評価基準

仕事とは、良い結果を残した時だけ評価されます。
だから良い結果を残さない限り、そのプロセスも、その努力も認められることはありません。
当然と言えば当然のことですが、それがビジネスの世界です。

そんな仕事に対する評価基準には、

1.予算対実績 2.前年対比 3.黒字赤字 があります。

予算実績(予算と実績に対する評価)

これには4つの基準があります。

A 売上達成・利益達成
B 売上未達・利益達成
C 売上達成・利益未達
D 売上未達・利益未達

※ 予算に対する実績の評価はこの4つで、評価の順番もAからDの順です。
そして評価に値する標語は、AとBの2つだけです。

前年対比(前年実績に対する今年度の評価)

これにも4つの基準があります。

A 増収増益
B 減収増益
C 増収減益
D 減収減益

※ 前年に対する評価もこの4つで、評価の順番も同じくAからDです。
そして評価に値する標語も、同じくAとBの2つだけです。

黒字赤字(最終的に黒字経営か赤字経営の評価)

これにも4つの基準があります。

A 黒字(営業利益率 15%〜 )
B 黒字(営業利益率 8〜15%)
C 黒字(営業利益率 0〜 8%)
D 赤字(営業利益率  〜 0%)

※ 経営に対する基本評価は、黒字経営○・赤字経営✖️です。
それは、黒字は善であり、赤字は悪ということでもあります。
ここが黒字でなければ、予実対比も前年対比も全く意味がありません。
以上が、仕事に対する評価基準になります。

一般的な損益計算書

入るを図りて出るを制す

常に「収入」と「支出」の両方を考える

売上(収入) ー 利益(支出) = 利益

経営は
収支両面物心両面
から考えて行動する!

収入に関して

  1. すべてのお客様の満足と感動を追求します。
    (オペレーションの改善を図ります)
  2. 新たなお客様を開発します。
    (プロモーション活動を行います)

支出に関して

  1. 会社に対して最大限の利益を追求します。
    (つまり、ムダをなくすことです)
  2. お客様に対して最大限の利益を追求します。
    (つまり、ムリをしないことです)
  3. 会社とお客様に対して最大限の利益を追求します。
    (つまり、ムラを作らないことです)

数値オペレーション

難しいのは売上高や経費、それに利益となる数値が店舗のどのような作業から成っていて、今後、何を変えなくてはならないかと言う作業と数値の関連性から問題点を発見し、その問題点を解決することで数値を変えることです。

このことが理解できれば、店舗オペレーションと数値の関係が分かり、取り組んだ課題と数値を常に確認できるようになってきます。この数値と作業を具体的に展開したものが、月次行動計画(Action Plan)になってくると、大きな数値の成果に結び付いてきます。

次に、損益計算書(Profit and Loss Statement)の勘定科目ですが、それぞれ各経費の勘定科目仕訳が若干異なるとはいえ、基本的には、損益計算書の仕組みは同じです。
つまり、損益計算書を一度理解してしまえば、あとは多少の勘定科目が違っていても、それは大きな問題ではないと言うことです。

どの損益計算書も一番上が売上高で、一番下が利益となっているはずです。
その一番上の売上高を高めるためには、来客数を増やすか客単価を上げるしかありませんが、お店が成長し続けていくためには、なんといっても来客数を増やし続けることが大切です。
そのために店長は、お客様の満足と感動を得る良いオペレーションを目指して頑張るのです。

次に一番下の利益を高めるには、もとになる売上高を高めるか、各経費をコントロールすることです。
しかし、単なる経費削減では、一時的に利益を高めることにはつながりますが、そこには将来への発展性が生まれないことを忘れてはなりません。一番良い状態は、売上高を高めながら、各経費をコントロールすることで、お店を発展させることです。

売上高(Sales)

損益計算書(Profit and Loss Statement)の一番上にあるのが売上高です。
レストランの一般的な売上高とは、お店に来店されたお客様が支払った金額の合計高のことを言います。
売上高の公式は、次のように表されます。

売上高=来客数x客単価

売上高とは、お客様の数にお客様が支払った平均的な客単価を掛けたものです。そうすると、売上高を上げるためには、来客数を増やしていくか、客単価を上げていくことになります。

来客数を増やすためには、当然ですがご来店いただいたすべてのお客様の満足と感動を得ることが基本となり、それを前提としたお客様の創造が必要になってきます。
次に、客単価を上げるには、推奨販売などによるセールスプロモーションやセットメニューの導入、それに抜本的なメニュー単価の見直しなどがあります。

最大限の売上高の追求

しかし、売上高を高める基本は、なんと言っても満足したお客様の数を増やすことでお店の人気を高めることです。
だから店長は、来客数を増やすために「お客様の満足と感動を得る良いオペレーション」を第一に目指しているのです。
良いオペレーションがお客様の満足と感動を高め、そして、来客数を増やし、結果としての売上高を高めてくれるからです。

売上高が損益計算書(Profit and Loss Statement)の一番上に位置していることからも、仕事優先順位の一番は、お客様の満足とお客様の感動を得ることで達成できる最大限の売上高の追求になってきます。

利益(Profit)

損益計算書(Profit and Loss Statement)の一番下にあるのが利益(Profit)です。
店長には、お客様の満足と感動を高めながら、同時に利益を確保してゆく責任があります。
それは、店舗が利益を生み出す中心(Profit Center)であるからです。
しかし、一歩間違うと単なる経費削減による利益の追求になり、お客様の満足を得ることができないお店になってしまうので注意しなくてはなりません。

我々が目指さなくてはならないのは、最大限の利益追求です。
つまり、お客様の満足と感動を得ながら、適正に経費を使うことで得ることのできる利益です。
これを適正利益と呼んでいます。
それは、お客様が得をし、そしてお店も得をする利益のことです。
お客様はお店に行って何か特別な価値を感じる、つまり、得をした感じをするから、また、お店に来てくれます。
そして、また来てくれるお客様が増えるから、お店が繁盛するのです。

これが繁盛店になるための定義です。
逆に、お客様がそのお店に行っても、何も特別な価値を感じない、または、お客様が損をしたと感じたのでは、もう二度と、あなたのお店には足を運んでくれません。
だからお客様が増えないで減ってゆくのです。
簡単に言うと、これが不振店の定義です。

お客様が得をし、お店も得をする

お客様が得をし、お店も得をする状態を商売と定義しています。
つまり、売上高(Sales)と利益(Profit)の関係がしっかりと出来ていて、経営のバランスが取れている状態です。

売上を伸ばし利益を伸ばす

経費(Cost)

売上高と利益の中間にあるのが、経費(コスト)です。

店長は、最大限の売上高と最大限の利益を追求してゆくために、このコストをいかにして適正に使うことができるかが重要になってきます。
コストは使い過ぎれば、ムダを発生させることになり、会社が予定していた利益を確保することができなくなります。
しかし、逆にコストを使わなければ、ムリが発生し、一時的な利益が確保できたとしても、お客様の満足を得ることができず、結果としては、やはり会社が予定した利益を確保することができなくなってしまいます。
また、コストの使い方にバラツキがあれば、ムラが発生し、やはり結果的に利益を確保することができなくなってしまいます。

このコストをムダなく、ムリなく、そしてムラなく使ってこそ、最大限の売上高と最大限の利益を確保できるのです。

コストコントロール

このコストのムダ・ムリ・ムラを発見し、そして正しい状態にコストを持ってゆくことを、コストコントロール(Cost Control)と言います。
だから、コストコントロールは、決して経費削減のことではありません。

大切なことは、売上高に見合う経費を使って、あるべき利益を確保することにあります。
また、年度予算や行動計画をもとにした計画経営を行なってゆくためにも、コストコントロールは、欠くことのできない店長の重要なスキルになってきます。
自分の仕事の結果を損益計算書で確認できる、そんなプロ店長を目指してください。

 


謝辞
故五十嵐茂樹氏の生前のご厚意に深く感謝いたします。
また五十嵐由美子様におかれましてはテキストの提供ならびに掲載の許可をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。



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