第6部 レイバーコスト
Labor Cost Control
この経費をいかにしてコントロールするかで、結果の売上高と利益に大きな違いが出てきます。
そこで、人件費に関する基本的な考えと、コストコントロールに関する技術が必要になってきます。
店長の仕事は準備業
店長の仕事のスタートは準備業で、それは、売上や来客数を一日一日予測することから始まります。
これができないことには、店長の準備業はなにもはじまりません。
それは、ご来店いただいたすべてのお客様に対しての責任と、会社に対しての数値責任を果たすこと、そして、お店で働く人たちが良い仕事をできるようにするための店長の準備業が、そこからスタートするからです。
人と食材の準備
売上や来客数の予測が店長の準備業のスタートですが、この予測に対して行う具体的な準備が人と食材の準備です。
それは、お客様に対する責任と、会社に対する数値責任、そして、部下に対する責任を果たしてゆくために、必要な人員の準備と、必要な食材の準備をすることです。
もちろん、教育に関する計画も組み入れていきます。
この人と食材の準備が店長の準備業です。
スケジューリング(稼働計画)
私達の店舗運営では、スタッフなしには何も考えることは出来ません。
しかし、フタッフがたくさんいるからといって、何のプランも無しにスケジュールを組めば、適正なレイバーコストを保つことは出来ず、無駄なお金を使ってしまいます。
逆に、不必要な時にスタッフが多かったり、また、必要な時間帯にスタッフが少なかったりすることは、売上の機会損失や利益の機会損失につながります。
そして何よりも店舗の Q ・S ・C を著しく低下させる原因ともなります。
そこでスケジューリングでは、ムダ・ムラ・ムリを省き効率的にコントロールすることが大切になります。
80:20の法則
店長たちは、お店での問題点を解決しながら日々の営業活動をしてゆかなくてはなりません。
しかし大変残念ながら、多くの店長たちは、その日暮らしの場当たり的な仕事になってしまいます。
これでは、仕事で良い成果を挙げることは出来ません。
仕事の基本は、一日一日の戦いです。
つまり、お店の問題点を解決しながら、一人ひとり、一組人組のお客様を大切にしてこそ、お店が繁盛するというものです。
その一日一日の営業のレベルアップをするために必要なことが店長の準備業です。
それは、80%の準備業と20%の対応業で仕事の成果が決まるからです。
つまり、良い仕事の成果を挙げるためには、日々の良い計画書を作る必要があり、その良い計画書が、良い仕事の成果を挙げるための店長の準備業になるのです。
お客様・会社・部下に対する責任
- お客様に対する責任を果たせる準備をすること
- 会社に対する責任を果たせる準備をすること
- 部下に対する責任を果たせる準備をすることです。
正しくコントロールできている3つの状態!
- 一貫して高いレベルのQ・S・Cを提供している状態
- 計画通りの人件費を達成するすることが出来ている状態
- 計画的な人材育成が出来ている状態のことです。
正しくコントロールされていないと、ムダ・ムリ・ムラにお金を使うことになり、売上高の機会損失や利益の機会損失につながることになります。
そして何よりも、店舗のオペレーション(Q・S・C)のスタンダードを著しく低下させる原因ともなり、お客様の信頼を失うことにつながります。
そこで人件費に関する基本的な考えと、コストコントロールに関する技術が必要になってきます。
ワークスケジュールが全ての活動計画
ワークスケジュール表は、月間の活動計画が具体的に一日単位に落とし込まれた活動計画書です。
店舗の売上や利益の機会損失を防止し、そして何より一貫したQ・S・C・Aをお客様に提供するために、ワークスケジュール表ではムダ・ムラ・ムリを省き、人件費を効率的にコントロールすることがポイントです。
- 人が多ければムダが発生!
- 人にばらつきがあればムラが発生!
- 人が少なければムリが発生!
ワークスケジュールの3つの意味!
- 出勤命令書
- 作業割当指示書
- コントロール書
ワークスケジュール表 作成の7つのコツ
高いお客様の満足と感動を得ること、経営のムダを発見しムダを退治すること、そして、働くみんなのパフォーマンスを高めることは大変重要です。
そこでワークスケジュール表作成に関する7つのコツについて説明します。
- 時間当たりの来客数予測
- 一人一人に対する作業割当
- 時間毎ホール・キッチン人員数
- トレーニング計画
- インフォメーション
- 労働時間実績
- 経営管理実績
ワークスケジュール
結果分析
店長は、出勤後必ず前日のワークスケジュールに目を通します。
それは、前日のオペレーションが、
計画通りに行えたか?
予算と実績の差はどうか?
差異の発生した原因は何か?
差異に対して対応ができていたか?
を分析するためです。
結果分析4つのポイント!
1.来客数予実差は?
・宴会は予定通りであったか?
・フリーのお客様も予定通りであったか?
2.労働時間予実差は?
・来客数実績に対応できたか?
・出退勤ルールは守られていたか?
3.稼働計画通りであったか?
・来客実績に応じて、スムーズに変更できたか?
4.トレーニングは計画通りであったか?
・トレーニングは計画通りに進行したか?
・追加教育は実施されたか?
生産性と人件費
レイバーコストの数値スタンダードとは、Q・S・Cのスタンダードを実現できる良いオペレーションを前提とした数値のことです。
したがってこの数値を達成していないときには、何かオペレーション状の問題があるということになります。
そこで、モデル作業者を基準に、自店舗の来客数に対する標準人員配置を明確にする必要があります。
来客数職種別バランス表
人次来客数と標準労働時間
標準人/客 | 標準労働時間 | |
〜 11,000 | 4.20 | 2,619H |
11,000 〜 12,000 | 4.40 | 2,727H |
12,000 〜 13,000 | 4.55 | 2,857H |
13,000 〜 14,000 | 4.70 | 2,979H |
14,000 〜 15,000 | 4.85 | 3,125H |
15,000 〜 16,000 | 5.00 | 3,200H |
16,000 〜 17,000 | 5.15 | 3,301H |
17,000 〜 18,000 | 5.30 | 3,396H |
18,000 〜 19,000 | 5.45 | 3,519H |
19,000 〜 20,000 | 5.60 | 3,571H |
20,000 〜 21,000 | 5.75 | 3,652H |
21,000 〜 22,000 | 5.90 | 3,729H |
22,000 〜 _ | 6.00 | 3,833H |
※ トレーニング人時を含む
謝辞
故五十嵐茂樹氏の生前のご厚意に深く感謝いたします。
また五十嵐由美子様におかれましてはテキストの提供ならびに掲載の許可をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。