五十嵐茂樹の情熱塾〜プロ店長養成講座【第8部】
第8部 マネジメントサイクル
Management Cycle
サイクルというからには、それが仕事の回転になってくるのです。つまり、お店の問題を発見し、そしてその問題を解決し、また新たな問題に挑戦するということです。
この一連のマネジメントサイクルを身につけることが、店長の人たちにとっては、これから自分自身の成長を決定するといっても過言ではありません。
マネジメントサイクル PDCA
みなさんもよくご存知のマネジメントサイクルの一つに、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)というものがあります。
これは、1950年代、品質管理の父といわれるW・エドワーズ・デミング博士が、生産プロセスの中で改良や改善を必要とする部分特定を変更できるようプロセスを測定・分析し、それを継続的に行うわ目に改善プロセスが連続的なフィードバックループとなるように提案したものです。
私は、このPDCAをベースに、すべての業務に活用できるようにするためにマネジメントサイクル7Stepsを提唱しています。
これは特に、計画を正しく行うことで、確実な計画を立てるためです。
つまり、問題の発見や原因の分析を正しく行うことで、確実な計画を立てるためです。
それは、問題発見や優先順位の間違えた計画立案、それに、ロクな原因分析もしない対策判断といったことが多くあるからです。
ひどい人になると、単に目標や対策判断で計画を立てる人もいます。
そこで問題発見、原因分析、そして、対策判断というプロセスをもとに計画を立てることに重点を置いています。
これは、仕事で成果を挙げるための4つの準備段階でもあります。
つまり、結果としての成果を得るための計画(plan)を正しく立てるためのプロセスです。
その後の、実践行動(do)から進捗確認(chekck)、そして、結果の分析(act)までは、PDCAのD(実行)、C(評価)、A(改善)と基本的には同じです。
計画書や予算書は作ることはきても、価値ある予算書や価値ある計画書は、その内容が全く違う、ということでもあります。
マネジメントサイクルを身につける
今の時代、高いマネジメント技術と、そして、経営者としてのスタンスが備わっている店長たちは、多くのお客様の満足と感動と共に、高い業績を上げることが出来ています。
それは、売上高も利益も、最終的には店長のマネジメント力と仕事のスタンスで決定しているからです。
そのマネジメントのことを一言で表現するならば、会社の経営理念や使命を具体的に商品やサービス、そして、クレンリネスといった店舗の状態で表現し、同時に、適正な経費管理を行うことで、その結果としての売上高と利益を確保することにあります。
私がマネジメントの中核に、良いオペレーションと良いコストコントロールを置いているのもこのためです。
そして、このオペレーションとコントロールを確実に行なってゆく時の仕事の手法も同時に問題にしています。
それは、マネジメントの手法によって、結果の数値が大きく違ってくるからです。
そこでマネジメントサイクルの導入と定着を図ることで、店長の人たちに成功体験を積み重ねながら確実な成長を促していきます。
Management Cycle 7Steps!
マネジメントサイクル7Stepsとは、問題を解決しながら、より良く、より強くしてゆくための仕事のサイクルのことです。
そして、それが仕事の循環となっていることです。
そのために、このマネジメントサイクル7Stepsを1ヶ月間のサイクル、つまり、月次の業績や月次の課題解決と連動させるために目標達成シートとリンクさせてゆきます。
これによって、1ヶ月単位で問題を発見し、その原因を究明し、そして、問題解決のための対策を判断試計画に落とし込んでゆきます。
その後は、確実な実践と1週間単位で進捗の確認をし、必要に応じて対策を追加しながら月末までには、しっかりと目標を達成してゆきます。
当然ですが、仕事に対する考え方を学んだだけでは良い成果を得ることはできません。
また、目標管理だけを導入しても、やはり良い成果を得ることはできません。
大切なことは、仕事に対する考え方と合わせて、目標管理を導入し、それをもとに、週間単位で仕事のレビューをすることです。
マネジメントサイクル
Step 1 問題の発見
仕事のスタートは、問題点の発見です。
よく言われる「仕事への問題意識をもとう!」ということですが、しかし、仕事への問題意識を持ち、お店の問題点を発見するには、その前にまず「仕事の理想」や「仕事のこだわり」といったものがなくてはなりません。
これがあって、はじめて仕事に対する問題意識を持つことができるのです。
つまり、お店の状態と数値を具体的に明確にしたものです。
これがスタンダート(店舗運営基準)と言われるものです。
実はこの店舗運営基準(スタンダート)は、店長であれば必ず持っているものです。
それは今の自店のレベルが、自分自身のスタンダードであるということです。
当然ですが、自分自身のスタンダードが低ければ、仕事に対する問題意識は低く、お店の改善レベルも低いということになり、逆に、自分自身のスタンダードが高ければ、お店への問題意識は高くなり、お店の改善レベルも高いものになるということです。
この自分自身のスタンダードレベルが、不断の改善レベルを決定し、あなたのお店の成長を決定するのです。
そのためには、まず自分自身の持つ店舗運営基準(スタンダード)を高めることで、仕事の問題意識を高め、そして不断の改善レベルを高めることでレベルの高い店舗運営をしなくてはならないのです。
Step 2 原因の分析
さて店舗運営基準(スタンダード)に基づいて、自店舗の問題点を発見し、次に行うことは、その問題が何故起きるのかの原因を突き止めることです。
当然ですが問題には必ず原因があります。
だからその原因を探らなくては、その問題が解決することはないのです。
しかし、この原因分析を徹底的に行う店長が実に少ないのです。
お店の問題点がいつまで経っても解決しないのはこのためです。
そこで原因の分析で最も大切なことは、問題の本質を探すために、「なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?」を5回以上繰り返すことです。
この徹底した問題点の掘り下げが、原因を明確にし、そしてその問題点を解決へと導いてくれるのです。
Step 3 対策の判断
問題の原因を分析したら、次に行うことはその問題が解決し、今までよりもお店が良くなるための対策案を決定することです。
つまり、問題解決のための具体的な打ち手を決めることです。
ここで注意しなくてはならないことは、問題の原因と対策の判断が論理的に結びついていることにあります。
Step 4 行動の計画
次は、対策の判断を確実に実行に移すための行動計画(アクションプラン)の作成です。
この行動計画には具体的に、誰が、何を、どこで、といったことが書かれていなくてはなりません。
この計画書に具体性がないと、対策の判断が実行に移されることはまずありません。
つまり5W2Hで行動計画を作成するのです。
自分の作成した行動計画が、この5W2Hにかなっているか、今一度チェックする必要があります。
Step 5 実践の行動
どんなに立派な行動計画ができても、そのことを実践しなければ成果を得ることはできません。
良い成果を得るためには、当然ですが確実な実践行動が必要です。
成果の90%は、この実践行動で決まるのです。
失敗を恐れぞにどんどん新たな課題にチャレンジしなくては、何も得ることはできないのです。
Step 6 進捗の確認
進捗の確認とは、対策の途中確認を行うことです。
言いっぱなしや、やりっぱなしにならないよう、計画段階でこの途中確認を行う日を決定しておくことが重要です。
また途中で進捗の確認をすることで、計画の修正や追加の教育といったさらなる課題も明確になってきます。
この進捗の確認を行うことで、実践の行動にもさらに磨きがかかってくるのです。
Step 7 結果の分析
結果を把握することが、次への成長に結びつきます。
もちろん良い成果を得ることに越したことはありませんが、失敗も次への成長に結びつくことを忘れてはなりません。
大切なことは、仕事の結果を分析することです。
以上が問題解決のためのマネジメントサイクルの7Stepsです。
この、
問題の発見→原因の分析→対策の判断→行動の計画→実践の行動→進捗の確認→結果の分析
といったサイクルを1ヶ月の仕事として取り組むのです。
つまり毎月、月初めには必ず問題の発見と原因の分析をし、そして対策の判断と行動の計画を立て、実践の行動を起こしてゆくのです。
そして月中には、課題の進捗の確認をし、必要であれば課題の修正や追加の課題を取り入れ、月末には結果の分析をするのです。
このことを毎月繰り返しながら、不断の改善を行い、結果としてお店を強くしていくのです。
謝辞
故五十嵐茂樹氏の生前のご厚意に深く感謝いたします。
また五十嵐由美子様におかれましてはテキストの提供ならびに掲載の許可をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。