第10部 トレーニング
Training
そんなお店の共通点は、仕事を教えない、仕事を任せない、という問題です。当然、人は育たないし戦力にもならない、もちろん、人も増えません。
仕事を教え、仕事を任せるから、人が育ち、お店の戦力がアップするのです。さらには、一人二役、一人三役をこなせるようになることで、格段にお店のレベルもアップし、残業や休日出勤、それに、休憩の問題も解決してきます。
考課と教育訓練
店長の仕事の中心は、部下に対する考課と教育訓練です。
その考課とは、部下の不足する知識と経験を発見することです。
そのためには、常日頃から部下の仕事ぶりに注視する必要があります。
次に教育訓練とは、不足する知識と経験を部下に供給することです。
仕事を正しく教える!
仕事を正しく教えることが、楽しく働くことにつながり、楽しく働くことが定着と戦力化につながり、そして、お店のレベルアップにつながります。
お店の人たちは、仕事ができないのではなく、仕事を教えてもらっていない、仕事を任されていないのです。
だからオペレーションに振り回され、その結果、仕事で嫌な思いをし、そしてやる気をなくし辞めてゆくのです。
これでは人が定着しないのは当然、人が戦力化しないのも当然です。
任せるための条件!
- 自らが実践できること!
- ポイントを言葉で説明できること!
- 任せることができ、仕事ぶりを観察できること!
- 良い点は認め誉めることができること!
- 悪い点は改善を促すことができること!
トレーナー・トレーニー体制!
競争に勝つための究極の武器は、学習する能力と、学習したことを取り入れ、すばやく行動に移す能力です。
そのためには、良いアイディアは共有し、共に学ぶことです。
繁栄する企業には、そんな学習する文化があります。
それは、全員が教わることに一生懸命、そして、全員が教えることに一生懸命、そんな全員トレーナー、全員トレーニー体制を構築し、この大競争時代に打ち勝つために、学習する文化を社内に根付かせてゆくことです。
トレーニングの重要性
お店の人たちに対するトレーニングがすべての問題を解決してくれます。
それは仕事を教えるから、美味しいお料理が出せるようになり、笑顔で親切なおもてなしが出来るようになり、そして、お店が綺麗になるのです。
また、仕事を教えるから原価が安定し、残業や休日出勤が減ってきます。
逆に良くないお店は、これをしっかりやっていません。
つまり、仕事を教えないから、笑顔がなく不親切な対応をし、お店が汚いのです。
また、仕事を教えないから、原価や残業、それに、休日出勤も減らないのです。
トレーニングの4段階手法!
第1段階 考課(教える項目を明確にします)
第1段階の考課とは、不足する知識と経験を発見することをいいます。
つまり、教える項目を明確にすることです。
何を教えて良いのかわからない状態で人をトレーニングすることはありえません。
このことが出来て、次の教育と訓練につながります。
第2段階 教育(不足する知識を充足します)
第2段階の教育とは、不足する知識を充足することを言います。
仕事ができないからといって、すぐに叱るようなことはしてはなりません。
仕事ができない理由には、必ず2つのことがあります。
それは、仕事を知らなくてできない場合と、もう一つは仕事のサボりです。
もちろん、仕事のサボりの場合は叱らなくてはなりません。
一番困るのは叱らなくてはいけない時に叱らなくて、叱らなくてもいい時に叱る場合です。
第3段階 訓練(不足する経験を充足します)
トレーニングの第3段階は、頭で理解できたことを体で覚えてもらうことです。
そのためには実際に仕事をさせてみることです。
訓練をしてゆく場合も、相手の習得状況を確認し続けなくてはなりません。
このことを怠るから部下が仕事を覚えないのです。
教えたつもり、訓練したつもりになってはいけません。
そのためには、訓練の状況を確認しながら間違いがあればその場で正すことが必要になってきます。
繰り返し、繰り返し訓練し、相手がのみ込んで実践できるようになるまで訓練を続けなくてはなりません。
やってみせること、やらせてみせること
やってみせながら、やらせてみること。
これがトレーニングでは一番大切です。
つまり、その作業を自分が提示することから始めれば良いのです。
次にやらせてみること、これは相手にその作業を実行させることです。
人の定着しないお店は、この、やってみせることが少なく、そして、やらせてみることも少ない状況にあります。
人は仕事ができてはじめて定着します。
第4段階 評価(褒めます)
誰でも自分のやっていることが果たしてどのくらい成果を上げているのかを知りたいものです。
仕事について何も言ってくれない状態が一番やる気をなくします。
次にできない事ばかり言われ続けることにもやる気をなくすものです。
一番やる気が高まる状態は、うまく行ったことを見逃さずに褒める事です。
仕事ができないのを叱ることばかりに才能を発揮してはなりません。
みんながやる気を持って仕事に取り組んでいる状態が、一番お客様が満足する状態であり、そして一番生産性が高い状態です。
人は上手くできたとき、それをきちんと評価してもらえれば、満足しやる気も起こってきます。
そのためには相手の仕事ぶりに関心を示し、それに応えることです。
フィードバックこそが人を育てるカギだ!
オリエンテーションの重要性
オリエンテーションは、新人が店に入店する時には必ず行ってください。
この、オリエンテーションで、新人は店の第一印象を決めます。
良い第一印象は、その後のトレーニングを効果的に進めることが出来ます。
さらには、オリエンテーション時に良い方向づけができると、その後も、やる気を持って仕事に取り組んでくれます。
ポイントは3つです。
オリエンテーション3つのPoint!
Point1. 安心
新人は不安でいっぱいです。
何より、安心させることから始めなくてはなりません。
自分が新人だった頃を思い出してください。
初めて仕事する人もたくさんいることを忘れないでください。
Point2. 多くのことを一度に教えない
あまり多くのことを要求しないでください。
一度に多くのことを覚えられるわけではありません。
自分もそうであったことを思い出してください。
確実に進むことが重要です。
しかし、ルールなどは確実に教えてください。
Point3. 再確認
すべてそうですが、再確認を行うことは重要です。
落ち着いたら、ルールや仕事の再確認をしてください。
良いこと、悪いことをはっきり伝えてください。
出来ていることは必ず褒め、出来ていないことは改めさせてください。
オリエンテーションハンドブック!
オリエンテーションハンドブックは、お店のファミリーとして迎える人達に、共通の仕事の目的と店舗のルールを明確にし、ファミリーの一員にスムーズになってもらうことを目的に作成します。
※主な構成は次の図表を参考ください。
オリエンテーションハンドブック
オリエンテーションハンドブック
目次
1. 経営理念
2. どんなレストラン
3. ハウスルール
3.1 あいさつ
3.2 身だしなみ
3.3 更衣室の使用方法
3.4 手洗い
3.5 休憩
3.6 タイムカード
3.7 スケジュールと休み
3.8 退職の手続き
4. 電話対応の基本
5. サービス業は「おもてなし業」
戦力分析表
氏名 | ご案内 | 会計 | テーブル セット | バック | 仕込み | フロント | ||||||
S | P | S | P | S | P | S | P | S | P | S | P | |
井上 | O | O | O | X | O | X | ||||||
大西 | X | X | X | X | O | O | ||||||
東 | O | O | X | X | O | O | ||||||
高橋 | O | O | O | O | X | X | ||||||
吉田 | O | X | O | O | X | X | ||||||
森下 | O | O | O | O | O | X | ||||||
林 | O | O | O | O | O | O | O | O | O | X | X | X |
中村 | O | O | O | O | O | O | O | O | O | O | O | X |
謝辞
故五十嵐茂樹氏の生前のご厚意に深く感謝いたします。
また五十嵐由美子様におかれましてはテキストの提供ならびに掲載の許可をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。