【ドラッカー】成果をあげる8つの習慣【マネジメント】
ドラッカーの「経営者の条件」(ダイアモンド社、1966年)から、「成果をあげることは習慣である」について取り上げます。
”今さらドラッカー?”という声があるのは認めます。
しかしそれでも、私たちが仕事に臨む時の考え方、思想、行動様式において学ぶべきところは大いにあると思うのです。
特に経営企画という「経営」について考える機会の多い職種においては、尚のことなのです。
やるべきことができていれば成果は出せるのです。
ただしこの”やるべきことができている”は一度きりや散発的に行われるのではなく、習慣によって常に繰り返される行動をさしています。
習慣とは「反復によって習得し、少ない心的努力で繰り返せる、固定した行動のこと」です。それは後天的に獲得が可能な能力です。例えいくつになっても新たな習慣を身につけることは可能なのです。
つまり正しい習慣を得る努力を行えば、誰にでも成果を出すことは可能なのです。
ピーター・F・ドラッカー(1909-2005) オーストリア・ウィーン生まれのユダヤ系 オーストリア人経営学者。「現代経営学」あ るいは「マネジメント」(management)の 発明者。
成果をあげる 第一の習慣
第一の習慣は”なされるべきことを考える”です。 ”なされるべきことをなす”ではありません。それでは将来から今を見る視点です。
必要なのは今から将来を視る視点なのです。
だから考える必要があるのです。そこに優先順位をつけて、必ずやり遂げるという意思を確かなものにしていかなくてはなりません。
”何をしたいか”ではありません。”何ができるか”でもありません。このどちらもが過去から今を見る視点なのです。
成果は常に将来のものです。今はまだ無き何かを掴むことでしか成果は掴めないのです。だから、”これから”なされるべきことを考える習慣が必要なのです。
成果をあげる 第二の習慣
第二の習慣は”組織にとってよいことは何かを考えること”です。
株主のためでも従業員のためでも役員のためでもありません。もちろん、これらのステークホルダーの理解を得ること、支持を得ることは必要なことです。
しかし組織には共通の目的があり、その目的達成のためにあるものです。この共通の目的のために株主も従業員も役員も組織に結びついているのです。
ですから”組織にとってよいこと”であるならば当然にこれら株主、従業員、役員の理解を得られるはずという前提に立たなくてはなりません。
人は誰しも自分の都合が頭にあるものです。しかしその誘惑を振り切り、脇に押しやり、”組織にとって”を第一に考える習慣が必要なのです。
成果をあげる 第三の習慣
第三の習慣は”行動する”ことです。
どんな知識も経験も行動に転化しなくては何の価値もないのです。知ってます聞いてますだけでは成果は上がりません。必ず”行動する”のです。 そして行動の前には計画が必要です。
望むべき結果、予想される障害、 必要となる修正、チェックポイント、時間管理上の意味合いを考えなければなりません。
ただし計画は意図であって、拘束でも約束でもありません。それは一つ一つの成功と一つ一つの失敗の振り返りを持って頻繁に修正されるものです。
今の計画を理由になすべき行動をしないのは厳に慎まなくてはならないのです。
成果をあげる 第四の習慣
行動することを決めたならば、”意思決定、コミュニケーション、機会、会議”について考えることが必要です。
そしてまず、意志決定するのならば次のことを決めなくてはなりません。
- 実行の責任者
- 日程
- 影響を受けるがゆえに決定の内容を知らされ、理解し、納得すべき人
- 影響を受けなくとも決定の内容を知らされるべき人
これらのことを決めないばかりに、意思決定が意思決定にならない、という失敗は多くの組織で起きているのではないでしょうか。
そしてこの内容に沿って、コミュニケーションと機会と会議について決める習慣を持つべきなのです。
成果をあげる 第五の習慣
第五の習慣は”アクションプランを理解してもらい、情報ニーズを理解してもらう”です。
「言えばその通りに動く組織」にいる方は稀でしょう。また、「自分が何でも知っている」と思っている方も稀でしょう。
そうであれば、まず行動計画については上司、部下、同僚に示し、意見を聞いておかなければなりません。認識の齟齬、見解の差異を明らかにして共通の理解に立たなくてはなりません。
同時に、自分がいかなる情報を必要としているかという情報ニーズについても理解してもらう必要もあります。
自分が何を知るべきかを明らかにし、理由を理解し知らせてもらう体制づくりが必要なのです。
通常、誰でも部下からの情報には注意を払うのでしょう。しかし上司や同僚からの情報についても同じくらい注意を払うべきです。
かえって使いもしない膨大なデータを手にしながら、必要な情報は手にしていないという状況もまたよくあることです。
こうした状況を打破するにも、必要な情報を明らかにし、求め続けるよう習慣づける必要があるのです。
成果をあげる 第六の習慣
もちろん問題は放っておくことも、隠しておくこともできません。
しかし問題の処理では、いかにそれが重大なものであろうとも、成果がもたらされるわけではないことを知らなくてはなりません。
それは損害を防ぐにとどまるものです。成果は機会から生まれるのです。 機会とは変化の中に見出すものです。変化を脅威ではなく機会の面から捉えることから始めなければなりません。
組織内外の変化から目を逸らしてはいけません。問題ばかりに目が眩んで機会を見失うことがあってはなりません。
最も能力の高い人材には、問題ではなく機会を担当させなければならないのです。そして、これらは習慣によって身につける必要があるのです。
成果をあげる 第七の習慣
第七の習慣は”会議の生産性をあげる”です。 多くのマネジメントが会議に多くの時間を割き、しかもその会議の生産性は低いと感じているようです。
ここに20世紀の名経営者とうたわれたアルフレッド・スローンの逸話を引用します。
メモは取らず、わからないことを聞く以外は発言もしなかった。最後にまとめと挨拶を述べて席を立った。
しかし部屋に戻って直ちにメモを書き、そのコピーを出席者全員に届けさせた。
メモでは結論と宿題を明らかにした。担当者と期限を示した。
それらのメモは一つ一つが名文だった。スローンはこうして傑出した経営者となった。
成果をあげる 第八の習慣
「私は」と言いたくなることを抑え、「われわれは」に置き換え発言してみるのはなんだか居心地の悪いものです。
その居心地の悪さはどこからくるのでしょう。
”自分がわれわれ、つまり組織を代弁するに足る存在なのか”
”この考えは、本当に自分の都合にとらわれた考えではないのか”
”組織を代弁しておきながら、間違いや失敗あったらどう責任を取れば良いのか”
”この考えが理解を得られなかったらどうすれば良いのか”
「私は」と言っておけば言い訳のできることが、「われわれは」と言ってしまったら言い訳ができなくなる。そんな居心地の悪さを感じるはずなのです。
しかし成果を出す者は、”組織を代弁するに足る存在であろうと努力し”、”自分の都合にとらわれまいとして”、”間違いや失敗に立ち向かい”、そして”理解を得るために全力を尽くす”のです。
最後にもう一つ
まとめ
いかがでしたでしょうか。
成果をあげるために必要な8つ(と1つ)の習慣について取り上げました。
店舗や営業に比較して成果の捉えづらい経営企画こそ、成果をあげるための習慣に取り組むべきだと思っています。
ただし習慣は一朝一夕に身につくものではありません。そこに意識を向け、注意深く行動し、よく振り返ることを何度も繰り返してやっと身につくものです。
れは静かに降り積もる細雪のようなものです。簡単に溶けて消えそうなものが、少しずつ積もっていくものなのです。
どうか一つづつ、これはというものから習慣化に向けて取り組んでいただければと思います。
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