【変化への対応】アフターコロナの飲食店経営【5つの質問】

「コロナ危機に対して”より良い世界に戻そう”という姿勢は否定しないが、むしろこのショックを”強い意志で未来を柔軟に創り変える”機会とすべきだ。」

(「人材版伊藤レポート」より抜粋)

2年超に及ぶコロナ禍は人々の生活を大きく変え、その影響は飲食店市場にも深く及んでいます。 思うような集客ができなくなり、収益構造が変わり、一方で新たなテクノロジーが普及を早めています。
そのような中、これからの飲食店経営はどのようにあるべきなのでしょうか。

大手外食企業の経営企画部を10年務め、中小企業診断士の資格も持つ著者がQ&A形式で解説します。

このような方におすすめ

  • コロナ前の経営に戻せるか不安がある
  • 既存事業を見直したいがどこから手をつければ良いか迷っている
  • 新規事業に取り組みたいが慎重に選択したい

Q1: 以前のような客数に戻せるのでしょうか

A. 集客の取り組みを考え直さなくてはなりません。そして客数が勝手に戻るということはありません。

これからの飲食店にはますます「目的来店性」「店内の体験価値」が求められることになります。
ただリーズナブルだから、ただ便利な場所、いい立地にあるからでは、繁盛させるのが難しくなってきています。 お客様にとって、なぜ外食するのか、なぜその店なのか、なぜそのメニューなのかがこれまで以上に重要になってきているのです。

2年以上に及ぶコロナ禍は人々の生活習慣に大きな影響を及ぼしました。
長引く自粛生活は出歩く機会を大きく減らし、わざわざ飲食店を訪れるための理由が必要になりました。 中食やテイクアウト、デリバリーの利用機会が増え、それらは多くの人々にとっての日常となりました。 将来への経済不安は、家計における外食費の見直しにつながっています。
それでもなお、飲食店で食事をする理由、飲食店でなくてはならない理由が問われるのです。

メニューであれば、冷凍食品やスーパーの惣菜、お弁当、そして他店舗とは一線を画す品質が必要になります。 店舗内装や接客においても「この店で良かった」「わざわざ店で食事した甲斐があった」となるような価値が求められるのです。利便性においてコンビニに勝るものはありません。コストパフォーマンスで大企業が作る冷凍食品に太刀打ちするのは難しいでしょう。

「来店しなければ商品提供できない」「注文がなければ作り始められない」ことは、飲食店の非効率性としてよく言われることです。 しかし、これを逆手にとり来店しなければ提供できない価値」「注文後に作り始めることでしか提供できない価値」を深掘りすることが重要なのです。

集客において短期的な施策は様々ありますが、長期的な展望に不可欠なのは、これら「店内の体験価値」と「目的来店性」なのです。

Q2: 原価や人件費を含む経費面での対策ができないものでしょうか

A. まだまだ経費削減や生産性改善の取り組みはできるはずです。一つ一つ着実に、しかしスピード感を持って取り組まなくてはなりません。

コロナ禍は集客のほか経費面でも影響を及ぼしました。

人件費は、接客業務を避ける傾向や長期休業後の採用難を通じ上昇しています。仕入れは、物流の停滞や産地での生産調整、さらには地政学リスクと為替影響も相まって高騰を続けています。
賃料についても、繁華街等高賃料の立地での集客力の低下や感染症対策の一環で、席効率が低下し賃料比率は悪化しました。その他経費についても、感染症対策での衛生費、備品、消耗品費の追加発生があります。
テイクアウトやデリバリーへの取り組みを進めていれば、関連する資材やシステム料が発生していることでしょう。

このように大小様々な経費で悪影響があり、これらは勝手に良くなることも、いつの間にか無くなることも期待できません。 自ら経費削減の取り組み、生産性改善の取り組みに動かなくてはならないのです。

●人件費
シフトやワークスケジュールの管理、従業員とのコミュニケーション、採用媒体と募集広告内容の見直し、そして営業時間の見直しなど、何かできることはないでしょうか。

●仕入れ
ロスや残食の管理、仕入れ先と商材規格の見直し、レシピマニュアルの改善、客単価アップの施策などないでしょうか。

●賃料
席効率に改善余地がないのか、賃料交渉は充分か、その他経費も取引先や規格の見直しができないか検討余地があるかもしれません。

これまでは手をつけなくても問題なかったことが多くあると思います。 今こそそれらに取り組み収支両面での改善に取り組むべき時です。

Q3: DXと言われてますが活用が必要ですか

A. 活用は必須です。しかし事業の強みに即した内容で取り組む必要があります。

”非接触”や”効率化”を切り口に多くのDXツールが出回るようになり、飲食店向けにも紹介されるようになりました。
オペレーション面ではデジタルメニューとスマホオーダー、セルフレジ、デリバリーに対応するOES、配膳ロボットなどが広く導入され始めています。
販促面でも専用アプリが安価に作れるようになったり、SNSを通じた集客のためのツールが多く出回っています。 一方で従来からあるグルメサイトはその効果を大きく落としています。
管理面では会計や人事管理、経費申請、ワークフローなど、在宅でも扱いやすいクラウド型のサービスが普及しました。

会社や店舗にも多くの営業の問い合わせ、提案が来ることでしょう。
しかし導入と活用はイコールではありません。 スマホオーダー1つとっても同じようなサービスがたくさんある中で本当にそれがベストの選択でしょうか。

店舗にとって肝心の機能が無く手間が全く減らない、かえってそのツールを管理する手間が増えていませんか。
逆に豊富な機能、高度な機能を使いこなせず、余計な費用を払うようなことになっていませんか。

また、DXの導入だけでなく、既存オペレーションの見直しの必要はないでしょうか。

スマホオーダーによって売れ筋が変わるようなら、メニュー画面の表現等で対応が必要かもしれません。
接客の良さに強みを持っていたとして、オーダーや配膳の接点が減る影響はどこでカバーすべきでしょうか。

聞こえのいい提案に振り回されず、一つ一つ深く掘り下げ、店舗の強みを損なわずに強めるような活用を検討するべきです。

Q4: 大手チェーンでさえ店舗数を減らしている中で生き残りは可能でしょうか

A. むしろ規模の小さい事業が生き残りやすいと考えています。

外食チェーンにとって規模が大きいことによる優位性は弱まってきています。

例えば、ブランドを掲げ均質なサービスを提供することによる安心感が、大規模チェーンの優位性の一つと言われてきました。
しかし、地図アプリの充実とSNSユーザーの口コミの普及により、初めて目にする店舗であっても営業時間やメニュー内容、店内や料理の写真、実際に行った人の感想などが、容易に費用負担なく手に入るようになりました。

かつてこれらは、企業側が広告費を負担してお客様に届けなくてはならない情報でした。
その費用負担が可能なこと、そのための担当者を社内におけること、媒体側でも担当者をつけるだけの収益が見込めることなど、規模によって左右される要素が大きかったのです。
未だその時代の感覚にとらわれ、新聞折込みやグルメサイトに過大な予算をかけ、一方で公式SNSの運用がままならないような企業は多くあります。

そして、これら地図アプリの情報の充実や公式SNSの運用は、規模に左右されずらく、むしろ規模が大きいほど手間が増えリスクも増えてくるのです。

あるいは、セントラルキッチンの活用による調理工程の生産性向上と店舗スペースの圧縮が規模による優位性と言われてきました。
しかし、冷凍食品メーカーやコンビニエンスストアによる開発力は専門店に近い品質と安価な価格を実現してきています。
規模を生かしたセントラルキッチンの活用を突き詰めるほど、さらに規模の大きな中食や冷凍食品との競争に巻き込まれるのです。
むしろ規模が小さくても、調達から仕込み、調理、提供まで一貫して品質を管理し、安心感を提供できることが「飲食店にしかできないこと」になってきているのです。

もちろん、今後も大規模チェーンはあり続け、私たちの生活を豊かにしてくれることでしょう。

しかしその一方で、小規模チェーンや個人店が、大規模チェーンに真似できない価値を提供しお客様に支持されるようになる、それがより容易にもなってきているのです。

Q5: 自社の成長戦略を描きたいけどどこから手をつければ良いか分かりません

A. 飲食店の経営戦略、経営分析を専門とするコンサルタントにお任せください

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